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津波シェルターHIKARi 特許の詳細説明(2)

【発明を実施するための形態】

【0029】

本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。

[実施の形態の概要]

本発明の実施の形態に係る積層構造は、発泡体又はコア材を第1の繊維系強化材と第2の繊維系強化材で挟み込んで樹脂で接合して積層したものであり、発泡体として、硬質ウレタン、発泡スチロール、ポリエチレン、又はポリプロピレン等を用い、コア材として、ペーパーハニカム、アルミハニカム等を用い、繊維系強化材として、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、バサルト繊維又はバイオマス繊維等を用い、樹脂として、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール、ポリイミド、バイオマス等を用い、L-RTM(Light-Resin Transfer Molding)形成法又はインフュージョン形成法で製造されるものとしているので、避難用シェルターに使用できる強度を持った構造とすることができるものである。

【0030】

本発明の実施の形態に係る避難用シェルターは、強化プラスチックの球形をしており、内部及び外部から開閉可能な採光窓をハッチの近辺に設け、ハッチのロック機構を採光窓側に設けたものであり、ハッチ開閉のためのヒンジの一端がシェルター本体の出入口の内側に接続し、そのヒンジの他端がハッチの内側面に接続されているものであり、外部から採光窓を開けてその近傍にあるロック機構を外部から解除できるので、救援作業を容易に行うことができ、ハッチが閉じられた状態ではヒンジがシェルター本体の内部に存在することになるため、ヒンジがシェルター本体の外部に設けられている構成よりも強固なものとすることができる。

【0031】

[本積層構造:図11]

本発明の実施の形態に係る積層構造(本積層構造)について図11を参照しながら説明する。図11は、本積層構造の断面説明図である。以下に説明する本シェルター及びその他のシェルターの本体に適用されるものであるが、本積層構造は、シェルター以外の住宅建造物、施設、建築物等の構造物について適用してもよい。

本積層構造は、図11に示すように、発泡体又はコア材(発泡体等とする)32を第1の強化材31aと第2の強化材31bで挟み込んで、樹脂によって接合して積層したサンドウィッチ構造(積層構造)としたものである。

【0032】

強化材31a,31bは、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、バサルト繊維又はバイオマス繊維等の繊維系の強化材を用いている。

発泡体等32の発泡体は、硬質ウレタン、発泡スチロール、ポリエチレン、又はポリプロピレン等を用いている。

発泡体等32のコア材は、ペーパーハニカム、アルミハニカム等を用いている。

樹脂は、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール、ポリイミド、バイオマス等を用いている。

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【0033】

[本積層構造の製造方法]

本積層構造は、L-RTM成形方法又はインフュージョン成形方法を用いて製造する。

本積層構造におけるL-RTM成形方法は、下型に第2の強化材31b、発泡体等32、第1の強化材31aを敷き詰め、上型を真空圧で型締めして、型内に樹脂を投入して成形するものである。

【0034】

また、本積層構造におけるインフュージョン成形方法は、型に第2の強化材31b、発泡体等32、第1の強化材31aを重ねて置き、その上に各種の基材を載せ、最上層にフィルムを被せ、フィルムとの間を真空に吸引した後に、液状の樹脂を樹脂吸引口から吸い込ませ、硬化した後に、各種基材とフィルムを剥がして形成品を取り出すものである。

【0035】

本積層構造で、L-RTM成形方法又はインフュージョン成形方法を用いるのは、金型を使わずFRP製の型が製造できるので、設備投資額が低く、プレス機を使用しないため大きさの制限がないなどの利点が得られるからである。

【0036】

[本シェルターの設置:図1]

本発明の実施の形態に係る避難用シェルター(本シェルター又は第1のシェルター)について図1を参照しながら説明する。図1は、ハッチが閉状態の本シェルターの正面図である。

図1に示す本シェルター1は、地震発生時(または、予震発生時や、緊急地震速報装置のお知らせがあったとき)に直ぐに避難者Aが、本シェルター1に入り込むことができるように、家屋内や庭の片隅等の適宜な場所に配置しておく。または、地震発生時やその他の災害時に崖崩れや、土砂崩れや、頭上から落下物が落下する危険性が予想される場所に配置してもよい。

【0037】

さらに、本シェルター1は、水に浮くように形成されているため、津波や、洪水時の河川の氾濫が予想される場所に配置してもよい。本シェルター1は、全体が略球状でコンパクトに形成されたことによって、地震、崖崩れ、水害等の災害の際に、外圧や強い衝撃に耐えるのに適した形状的な強度を備えた構造になっている。つまり、本シェルター1は、球型シェルターである。

なお、上述した家屋内等の生活空間に本シェルター1を設置するスペースがない場合、使用者が生活空間に設置を望まない場合、その他事情がある場合は、後述する避難用シェルターシステムを設置することが好ましい。

【0038】

[本シェルターの概略構造:図1~4]

本シェルターの構造について図1~4を参照しながら説明する。図2は、本シェルターの背面図であり、図3は、ハッチが開状態の本シェルターの正面図であり、図4は、水中で姿勢を変更した状態の本シェルターの概略断面図である。

本シェルター1は、図1~図4に示すように、シェルター本体3と、出入口7と、ハッチ9と、フック10と、固定構造11と、ウェイト13と、から基本構成されている。

設置台21は、本シェルター1を、その上に設置しておくためのものである。設置台21は、次に述べるように球体に構成された本シェルター1を安定設置しておくためのものであるが、不要であれば省略してもよい。

【0039】

次に、本シェルターの各部について具体的に説明する。

[シェルター本体3の構造]

シェルター本体3は、強化プラスチック製で、全体としてほぼ球形であって、内部に避難空間5(図4)を備え、避難空間5は、外から水が浸入しないように水密閉鎖されている。水害によって流された場合等における避難空間5の安全確保のためである。

ここで、シェルター本体3とハッチ9は、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、バサルト(玄武岩)繊維又はバイオマス繊維(麻や竹などの天然繊維)等を不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール樹脂に含ませた強化プラスチックを用いている。特に、バサルト繊維は、玄武岩より溶融紡糸された環境にやさしい高強度の繊維であって、抗張力、耐熱性、耐紫外線性、耐酸・アルカリ性に優れ、アラミド繊維に匹敵する強度を有する。

【0040】

シェルター本体3の形状をほぼ球形としたのは、シンプルかつ衝撃に強い形状だから、崩れてきた瓦礫等の下敷きになったとしても容易に壊れることがなく、避難空間5内に避難した避難者Aを確実に守ることができるからである。

さらに、水害に遭った時に、押し流される瓦礫など引っかかって水没せずにすり抜けやすい形状だからである。

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【0041】

シェルター本体3の大きさは、一度に収容する避難者Aの人数にもよって様々である。ただ、シェルター本体3を大きくすればその分、重量が増加し占有面積も増大するので、運搬や設置の手間を考え、数人用とするのが好ましい。数人用としておけば、平均的な家族全員が避難できる大きさである。避難は迅速に行われるべきであるが人数が多すぎると順番待ち現象が生じて迅速性が害されるので注意が必要である。上述した理由から、大家族の家庭に設置するのであれば、複数個の本シェルター1を設置することが好ましい。

【0042】

[つかまり棒6]

図3に示すつかまり棒6は、避難空間5内の避難者Aが、自分の体を保持するためにつかまるための棒である。つかまり棒6は、シェルター本体3の縦方向に延び、上下端それぞれがシェルター本体3の内壁に固定されている。

尚、つかまり棒6に、中空の金属(例えば、ステンレス等)製の棒(パイプ)を用いた場合に、強度を向上させるために、つかまり棒6の内部にモルタル等を詰めるようにしてもよい。

【0043】

つかまり棒6は、避難者Aが本シェルター1(シェルター本体3)の重心を移動させるためにシェルター本体3の内壁上を歩行する際に取っ手としても機能する。すなわち、シェルター本体3の重心を移動させようとする避難者Aは、つかまり棒6につかまることにより、シェルター本体3内を歩行(膝立ち歩行や尻のずらし等を含む)するときの起点を確保することができる。起点を確保した避難者Aは、確保がなければ難しいシェルター本体内の所望位置に足先や膝等を移動することが容易になる。これによって、シェルター本体3の重心を任意に制御することができる。つまり、シェルター本体3の姿勢を迅速かつ容易に任意の状態に保持することが可能になる。

【0044】

[出入口7]

出入口7は、設置したときのシェルター本体3の側方に形成された円形の開口であって、避難者Aが避難空間5内に避難したり退出したりするためのものである。したがって、出入口7の直径は、強度を極端に落とさず大人一人が出入り可能な寸法、たとえば、500~600ミリメートル程度が好ましい。

また、出入口7の形状について、円形以外の形状を選択してもよいが、本実施形態では、応力集中を可及的に避けシェルター本体3の強度を保つために円形とした。また、強度確保のために出入口7は1個としてある。2個以上の出入口を設ける場合は、シェルター本体3の全体強度に留意し、必要に応じて補強構造を設けるとよい。

【0045】

[出入口7周囲の補強]

出入口7は人が出入りするための空間であるから、外力が加わったときに変形が生じる恐れがまったくないというわけではない。そこで、本実施形態では、好ましい一態様として、シェルター本体3において避難空間5側の出入口7の周縁には、出入口7の周囲を囲む補強枠板4を貼着固定してある(図1、図4)。

補強枠板4が環状に形成してあるのは、出入口7が円形だからであり、出入口7が円形以外の形状であるなら、これに合わせた形状に形成するとよい。

【0046】

補強枠板4は、2mm程度の鉄板で構成したが、他の金属や強化プラスチックなどで構成してもよい。

尚、補強枠板4は、シェルター本体3の内面側から取り付けて貼り付けるようにしているが、シェルター本体3の外側面と内側面との間の内部に形成してもよい。

さらに、出入口7の周りだけでなく、後述する採光窓17、換気口15等が取り付けられる孔の周りなどにも補強枠板を設けてもよい(図示は省略)。

【0047】

[ハッチ9の構造,ヒンジ9b]

図3及び図4に示すように、ハッチ9は、出入口7より僅かに大きな円形に形成され、シェルター本体3内に一端が固定されたヒンジ9bの他端に固定されている。ヒンジ9bの機能により、ハッチ9は、シェルター本体3に対し外開きに開放可能に出入口7を閉鎖するようになっている。

つまり、ヒンジ9bは、一端がシェルター本体3の出入口7の内側面周縁に固定され、他端がハッチ9の内側面周縁に固定されている。

また、ハッチ9の内側面周縁にリング状(環状)の凸形状の凸部を形成し、その凸部が出入口7に挿入されて噛み込む構造にしてもよい。凸部に厚みを持たせれば、ハッチ9の座屈防止の強化部品とすることができる。

【0048】

[パッキン9a]

ハッチ9内側面周縁と出入口7の外側面周縁の間には、環状のパッキン9aが介在され、閉鎖時に両者間の水密性をしっかりと保つように構成されている。パッキン9aは、シェルター本体3側に固定してあるが、ハッチ9側に固定してもよいし、2つのパッキンを両者それぞれに固定するようにしてもよい。

【0049】

[ロック機構9c]

シェルター本体3の内部には、ロック機構9cが設けられていて(図3)、避難者Aが内部から操作しハッチ9をシェルター本体3に対しロックもしくはその解除が行えるようになっている。

ロックしたとき、パッキン9との協働により、シェルター本体3とハッチ9との間の水密が砲保されることは言うまでもない。

【0050】

[ハッチ9のその他の構成]

ハッチ9を構成する素材については別項で述べるが、その一部(たとえば、中央部分)を透明な合成樹脂や強化ガラスなどで構成してもよい。避難者Aが外を見られるように、また、外部の光を避難空間5内へ導くことができるようにするためである。

シェルター本体3に取り付ける補強枠板4のような補強枠板(図示を省略)をハッチの内側(避難空間5側)に設けることも可能である。

【0051】

[固定構造11とウェイト]

[床板11a:図4、図5]

シェルター本体3は、その設置時の底部上に、円板状の床板11aが固定されている(図4)。

床板11aについて図4,5を参照しながら説明する。図5は、床板の平面図である。

床板11aは、シェルター本体3の球状の内壁面を平面化し、その上で避難者Aが膝を折ってしゃがめるようにするためのものである。床板11aには、開口11bが形成されている。開口11bは蓋11dによって開放可能に閉鎖され、床板11aの下側に設けられた収納空間11cの上部開口となっている。

【0052】

[収納空間11c、蓋11d]

収納空間11c内には、飲料水の入ったペットボトル(液体容器、図4にWと表示)を収納してある。このペットボトルは、シェルター本体3を設置状態に保つためのウェイトとしての役割を担っている。ペットボトルは、ウェイトとして必要重量を得るために複数本としてもよい。床板11aと収納空間11cと、蓋11dは、本実施形態におけるウェイト(ペットボトル)13の固定構造11を構成している。固定構造11から取り出したペットボトルは、これを他の固定構造(収納空間、図示を省略)に移動させればシェルター本体3の重心を移動させることが可能になる。

蓋11dは、床板11aの中心に対して左右に方形で形成されているが、床板11aの1/4の扇形状とし、図5の床板11aの上側半面に2つの1/4円の蓋を配置するようにしてもよい。この場合、床板11aの水平方向の直径部分で蓋が開閉可能に固定される。

【0053】

[移動構造]

シェルター本体3の内壁曲率とほぼ同じ曲率の外壁を持った球形の一部を、ある平面(床板11aと同じ面積とする)を境に切り落としたとして、その切り落とした椀状部分と同じ形状の収納庫を形成し、それを床板11aの代わりに設置するようにしてもよい(図4)。この場合、上面は床板11aの代わりとなる。このとき、椀状の収納庫の底面はシェルター本体3の内壁面と面接触するので、シェルター本体3に対し安定した設置を行うことができ、移動構造を形成できる。この移動構造により重心を移動させるためのシェルター本体3に対する移動も簡単になる。

尚、椀状の収納庫の底面に凹形状の溝を形成し、それに対応してシェルター本体3の内壁面に凸形状のガイドを形成して、移動構造として移動し易くすることもできる。また、椀状の収納庫の底面に凸形状とし、シェルター本体3の内壁面に凹形状としてもよい。

【0054】

[溝12(案内構造)]

尚、シェルター本体3と収納庫との問に、移動方向を案内するための案内構造(図5に示す溝12)と、任意の位置で固定構造11を半固定可能とするための固定構造(図示を省略)を設けておくこともできる。

【0055】

案内構造として機能する溝12は、床板11aの中心から半径方向に切りぬき形成され、その中心に、つかまり棒6が挿入されている。図4及び図5に示すように固定構造11は、シェルター本体3が、図3に示す状態から姿勢を変えず図4に示す状態になる際に、図4の11a(1)→11a(2)のように紙面垂直の状態から同水平状態へ移動する。この移動によって、つかまり棒6は、溝12に案内され、姿勢変更後は図5に示すように、紙面垂直方向に延びた状態になる。

【0056】

[換気口15]

シェルター本体3には、図2に示すように、避難用空間5内の換気を行うための換気口15が貫通形成されている。

換気口15は、これに逆止弁を設けたり、開閉蓋を設けたりすることにより、水が入らないように構成する。また、その設ける位置は、シェルター本体3が水中浮遊したときに水面より高い位置に設けることが好ましい。浮遊時でも換気ができるようにするためである。

【0057】

[採光窓17]

ハッチ9は、避難空間5内において施錠解錠可能なロック機構9cによってシェルター本体3に対しロック可能であることは前述した。採光窓17は、シェルター本体3を貫通する窓孔(図示を省略)に、たとえば、ローレットネジによって差し込み固定してあり、外部から取り外し可能に構成してある(図4で2点鎖線の矢印で示すように、紙面の裏側に取り外す)。

【0058】

また、採光窓17を透明な円盤形状とし、その側面にネジ山を設け、窓孔の内側部分にはネジ山に対応したネジ溝を形成し、採光窓17を回転させることで、窓孔に取り付け、取り外しができるようにしてもよい。

採光窓17は、外側と内側から開閉できるように、外側面と内側面の双方に指を差し込む凹部が形成されている。更に、採光窓17を開状態にすると、シェルター本体3の内側には取り外せるものの、外側には取り出せない構成となっている。つまり、窓孔の開口部の外側部分は、採光窓17の直径より小さく形成されている。

【0059】

そして、この窓孔は、シェルター本体3の外にいる者(たとえば、救助者)が、腕を入れることにより直接的(救助者の手が届く)もしくは間接的(道具を介して届く)にロック機構9cを解錠できる位置および形状に構成されている。

避難空間5内に避難者が覚醒状態にあれば密閉時に中に入っている人は、当然の如くロック機構9cを解除しハッチ3を開けて外に出ることができる。一方、避難空間5内に避難した者が非力な子供やお年寄りのみである場合、大人であっても気絶してしまって解除できない場合等は、それができない恐れがある。そこで本シェルター1では、救助者が採光窓7を外から外し、その窓孔から手を入れてロック機構9cを解除しハッチ3を開放できるようになっている。

【0060】

[フック10:図2、図4、図6]

次に、シェルター本体3の表面に形成されたフックについて図2、図4、図6を参照しながら説明する。図6は、フックの概略側面図である。

フック10は、図2、図4に示すように、シェルター本体3において、ハッチ9とは反対側の位置に形成されている。

フック10に、小型船舶用のフォールディングアンカー等を、アンカーロープを介して接続するようにしておけば、本シェルター1が津波の引き波で沖合に流されないようにすることができる。

アンカーロープは、危険回避のため、強度を必要以上に強くせず、数百kg程度の荷重で切れる強度とする。

 

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津波シェルター製造・販売 株式会社光レジン工業

地震や津波から命を守る防災シェルターHIKARi(ヒカリ)

 

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