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見出し画像:地震津波用防災シェルターHIKARiヒカリ

津波シェルターHIKARi 特許の詳細説明(3)

【0061】

更に、フック10は、図6に示すように、フック部10aと、接合部10bとから構成されている。

フック部10aは、アンカーロープを接続するためにU字形又はコの字形をしており、その両端が接合部10bに固定されている。尚、フック部10aと接合部10bは、例えば、金属等により一体に形成されている。

また、接合部10bは、シェルター本体3に対してオーバーレイ接合で取り付けられており、ネジやビスを用いることがないため、シェルター本体3にドリルで穴を開ける必要ががくなり、強度を損なうことがない。オーバーレイ接合は、接合部10bをシェルター本体3にテープ等で貼り付け、樹脂で脱泡するという、シェルター本体3の外側面に対してハンドレイアップで貼り付ける接合である。更に、シェルター1が水没しかねない危険な状況となった場合、接合部10bがシェルター本体3から剥離して、シェルター本体3がアンカーロープとフォールディングアンカーとから離脱できる。

【0062】

[シェルター本体3の構造:図7]

シュエルター本体3の構造は、図11に示した第1の強化材31aと発泡体等32と第2の強化材31bの積層構造を用いるものであるが、以下に示す構造であってもよい。

シェルター本体3の構造について図7を参照しながら説明する。図7は、シェルター本体の積層構造を示す部分断面図である。

シェルター本体3は、図7(a)に示すように、多層構造になっている。すなわち、樹脂層(たとえば、ビニルエステル樹脂層)3aの一方の面(図7(a)の下面)に、ロービングクロス層3b、チョップストランドマット層3c、ロービングクロス層3d、チョップストランドマット層3e、ロービングクロス層3f、そしてチョップストランドマット層3gの順でロービングクロス層とチョップストランドマット層とを互い違いに複数回繰り返して積層してなる構造である。ロービングクロス層とチョップストランドマット層による積層の繰り返しは、本実施形態では3回としたが、求める強度などに適応できればその増減を妨げない。

ここで、ロービングクロス層、チョップストランドマット層はガラス繊維であって、携帯電話又は無線機等の電波の透過性が高い素材である。

【0063】

[ロービングクロス層3b,3d,3f]

ロービングクロス層3b,3d,3fは、詳細な図示は省略するが、枠体に貼り付けて張り子を作る紙片、もしくはパッチワークのために縫い合わせる布片のような、部分的に重ね貼りされた複数のロービングクロス小片から構成されている。

このロービングクロス小片は、その大きさや形状に制限はなく各々は同じでもよい、し互いに違えてもよい。たとえば、一辺が10cm程度の矩形小片により構成することができるが、複雑な形状の層を形成するのであれば小径としたり小片の形状を工夫したりするとよい。必要であれば、貼り付けに接着剤を用いてもよい。貼り合わせには高度かつ繊細な技術が必要であるため熟練工による手作業が基本であるが、機械等による自動化を妨げる趣旨ではない。

【0064】

[チョップストランドマット層3c,3e,3g]

チョップストランドマット層3c,3e,3gも、上記と同様に部分的に重ね貼りされた複数のチョップストランドマット小片から構成されている。チョップストランドマット小片の大きさや形状、さらに貼り付け法等については、上記したロービングクロス小片のそれらと異ならない。

尚、ロービングクロス層およびチョップストランドマット層には、それぞれ樹脂を含浸させてある。各層の厚みは、たとえば、0.4mm程度が好ましい。

【0065】

[コア層]

尚、上述したチョップストランドマット小片それぞれの厚み方向途中には、樹脂を含侵させたコア層を設けることが好ましい。すなわち、図7(a)に示すチョップストランドマット層3c,3e,3gの代わりに、図7(b)に示すチョップストランドマット層3c'(3e',3g')を採用することができる。チョップストランドマット層3c'(3e',3g')を構成するチョップストランドマット小片それぞれは、チョップトランドマット層3cp(3ep,3gp)と他のチョップトストランドマット層3cr(3er,3gr)との間に、コア層3cq(3eq,3gq)が設けられている。

【0066】

コア層3cq(3eq,3gq)の素材は、そのままなら樹脂を流通しやすいが樹脂流通後の型締め(後述)により強固になる素材、たとえば、綿状の樹脂材(たとえば、PP(ポリプロピレン))が好適である。その理由は、次の積層構造の製造方法において行う樹脂注入に係り、注入する樹脂がチョップストランドマット層3cp(3ep,3gp),3cr(3er,3gr)の流通を促進して全体に行きわたりやすくし、これによって均一で強固な積層構造を製造するためである。

【0067】

ここで、図7(b)に示したチョップストランドマット層3c'(3e',3g')を、図11に示した三層の積層構造としてもよく、その場合、チョップトランドマット層3cp(3ep,3gp)が第1の繊維系強化材31aに、コア層3cq(3eq,3gq)が発泡体又はコア材32に、チョップトストランドマット層3cr(3er,3gr)が第2の繊維系強化材31bに相当するものとなる。

尚、シェルター本体3は、図11の積層構造を用いることなく、発泡体(発泡材)又はコア材を入れずに、樹脂層の下面に、ロービングクロス層、チョップストランドマット層を単に繰り返し積層した構造であってもよい。

【0068】

[シェルター本体3の製造方法:図7、図8、図9]

シェルター本体3の製造方法について図7~図9を参照にしながら説明する。図8は、シェルター本体の製造方法を示すフロー図であり、図8は、シェルター本体の結合を示す部分断面図であり、図9は、シェルター本体の結合を示す部分断面図である。

まず、L-RTM(Light-Resin Transfer Molding)成形装置を用意する。ここで、L-RTMとは、下型に基材を敷詰め、上型を真空圧で型締めして、型内に樹脂材料を注入・成形する工法で、通常のハンドレイアップ成形法やスプレーアップ成形法によって成形したG-FRP(Glass-Fiber Reinforced Plastics)製品と異なり裏表とも平滑面となることに特長がある。

【0069】

一方、上述した通常のハンドレイアップ成形法は、繊維強化剤に樹脂を染み込ませ手作業で貼り付け、脱泡作業を行うものであるが、この成形法によって製造する製品は技術者の熟練度や製造姿勢などの差が製品の均質化の妨げになるといわれている。ハンドレイアップ工法は、手作業で行うことから繊細な形状をも実現可能であるなどの利点があるが、脱泡作業が不十分であると空気が層の中に残ってしまい、これは、製品の強度や安全性に脅威となりかねないという問題がある。そこで、本願発明者らは、ハンドレイアップ工法の利点を踏襲しつつその欠点を補うためにL-RTM成形法を併用する手法を考案した。

【0070】

図8に戻り説明を続ける。まず、下型内面に樹脂(本実施形態では着色された塗膜樹脂)をスプレーして樹脂層3aを形成する(S1)。次に、樹脂層3aの表面に、強化基材であるロービングクロス層3b,3d,3fとチョップストランドマット層3c,3e,3g(3c'(3e',3g'))を互い違いに積層する(S3)。この作業は、複数のロービングクロス小片および複数のチョップストランドマット小片を、それぞれ部分的に重ね貼りする作業である。

積層を終了したら、これをさらに、上型を真空圧で型締めし(S5)、上型と下型の間である型内に樹脂材(本実施形態では、ビニルエステル樹脂)を注入して成形する(S7)。各層に含侵させた樹脂が硬化したら上型を開いて、成形品であるシェルター本体3を下型から取り出す(S9)。以上により、シェルター本体3の製造を完了する。

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【0071】

尚、シェルター本体3は球形であるから、縦半分のものを2つ製造し、その一方に周縁に径が僅かに大径の重なり部3sを形成し、その中に他方の周縁を入れ、接着固定するようになっている(図9)。

本実施形態に係る製造方法によれば、L-RTM成形装置を用いて、型締めを行っているので、小片を部分的に重ね貼りした各層がしっかりと締められるので圧縮強度が飛躍的に向上しており、かつ、真空圧により樹脂が層の中に確実に含侵されているため、層の内面を平滑面とすることができる。

また、本実施形態に係る製造方法によれば、脱泡が確実に行われることから避難用シェルターとして十分な強度と均一性を実現することができる。

【0072】

また、ハッチ9は、上述したシェルター本体3の製造方法と同じ製造方法によって同積層構造と同じ構造に構成することが好ましい。シェルター本体3と同様な強度を確保するためである。

更に、図示は省略するが、シェルター本体3の内面に緩衝材を設けることが好ましい。緩衝材を設けるのは、シェルター本体3が大きな衝撃を受けても、その影響ができるだけ避難者Aに及ばないようにするためである。本実施形態では採用していないが、避難者Aの身体をシェルター本体3に固定するためのシートベルト(図示を省略)、腰を下ろすためのクッション(図示を省略)などを取り付けておくこともできる。なお、上記緩衝材は、ハッチ9にも適用することができる。

【0073】

尚、図示は省略するが、上記した各層間の内、いずれかの層間には、金属板(たとえば、厚さ2mm程度の鉄板小片)を挿入することもできる。また、その金属板にネジ穴を形成することにより、たとえば、シェルター本体3の外側面又は内側面に取っ手やヒンジなどを確実にネジ固定できるようになる。

【0074】

[本実施形態の変形例]

シェルター本体3及びハッチ9には、防弾・防爆風効果を高めるためのアラミド繊維を含む層、もしくは、簡易核防護効果を高めるための鉛フィルム層を含めることができる。すなわち、図7に示す、たとえば、チョップストランドマット層3b,3dの代わりにアラミド繊維層等や鉛などの放射線遮断効果の高い部材のフィルム層若しくはコーティング層を積層することもできる。

アラミド繊維層を設けることにより、防弾・防爆風効果を高めることができるので、その際の避難用シェルター1は、紛争地域等で使用したときにその効果を発揮する。

また、鉛などの放射線遮断効果の高い部材のフィルム層若しくはコーティング層を設けて核防護効果を高めることにより、原子力被害想定地域において、その被害軽減が期待できる。すなわち、原子力被害発生時に、短時間で半減期を迎える放射性物質への対策のため、当該短時間を放射線的に隔離された避難用シェルター1内で緊急避難的な滞在ができるようにするためである。放射線から防護するための防護服やマスク等を予め用意しておけば、避難者の安全をより確実に確保することができる。

【0075】

[避難用シェルターの使用方法]

地震災害の場合を例にして説明する。大きな予震が発生したときや、緊急地震速報装置のお知らせがあったときには、大地震が発生するまでに10秒~数十秒程度の時間がある。大きな地震の予震やお知らせがあった場合の避難者Aは、ハッチ9を開放し出入口7から避難空間5内に入り込む(図1、図3)。

避難した避難者Aは、ハッチ9を閉めロック機構9cでロックすれば避難を完了する。避難者Aの呼吸は、換気口15の働きにより確保される。家屋が倒壊したり土砂が崩れてきたりしても、避難者Aは避難用シェルター1に保護され、それらによって押しつぶされることはない。なお、設置時のハッチ9は、図3に示すように、開放状態にしておいてもよい。避難を迅速に行えるようにするためである。

【0076】

尚、ハッチ9を外側から閉じておくことができるように、出入口7の周縁とハッチ9の周縁を固定するパチン錠を設けるようにしてもよい。その設置位置は、図1において採光窓17に近い所とする。パチン錠は、ロックが解除されると、バネの力により、施錠されなくなるが、何かがそこに引っ掛かったりした場合に、採光窓17を開けてシェルター本体3の内部から手で取り除くことができる。

【0077】

本シェルター1(シェルター本体3)は、水密になっているので、そのまま津波などに流されても沈むことはない。また、瓦礫等との衝突から避難者Aを守ってくれる。津波にのまれた直後の本シェルター1は、その勢いや他の流出物との衝突などにより衝撃を受けたり回転したりするが、避難者Aは、安全にこれらから避難することができる。

【0078】

津波が落ち着いたら、ウェイト13や避難者A自身の移動によりシェルター本体3の重心を変え、ハッチ9が最上部に来るように水中姿勢を制御するとよい。ハッチ9を開けることができるので、外気を取り入れることができ、また、避難者A自身が出入口7から顔を出して周囲の様子を見ることなどが可能になる(図4)。

【0079】

例えば、避難用シェルター1の収納庫の中には、簡易トイレ、ヘルメット、緊急呼び出し用のホイッスルや発煙筒、懐中電灯、ラジオ、太陽電池その他の簡易発電機、飲食物、医療品等の防災用品を備蓄しておくとよい。更に、これらとともに、もしくは、これらの代わりに、前述した防護服やマスクなどを必要に応じて収納しておくこともできる。

尚、本シェルター1では、収容人数は4人程度であるが、階段の下等に設置されていれば、災害時に入り易いものである。

【0080】

[避難用シェルターシステムの構成:図10]

次に、本発明の実施の形態に係る避難用シェルターシステムについて図10を参照しながら説明する。図10は、避難用シェルターシステムの概略図である。

避難用シェルター1は、災害時の被災者が避難空間を確保する上で意義あるものである。しかし、家屋内等の生活空間51に避難用シェルター1を設置するスペースがない場合、使用者が生活空間51に設置を望まない場合等があることが事実である。そこで、平常時の生活空間を確保しつつ非常時の避難を可能とするのが、この避難用シェルターシステム101である。

【0081】

避難用シェルターシステム101は、使用者の生活空間51の上方もしくは下方に設けられた当該避難用シェルターを収納するための収納空間(上方収納空間53もしくは下方収納空間55)と、この収納空間に収納された避難用シェルター1を下降もしくは上昇させて生活空間51へ移送するための移送手段103と、によって構成されている。

【0082】

移送手段103は、避難用シェルター1を載せる置き台105と、置き台105を吊り下げる吊り下げ機構107と、吊り下げ機構107を下降もしくは上昇させるための昇降機構109から概略構成してある。

昇降機構109は、たとえば、屋根裏のスペースのような上方収納空間53に収納してある避難用シェルター1を、非常時に駆動して生活空間51へ下降させ、または平常時にその逆の動作を行う。たとえば、地下室のような下方収納空間55に収納してある避難用シェルター1は、非常時と平常時に上述した動作と逆の動作で生活空間51へ避難用シェルター1を移送する。

避難用シェルターシステム101によれば、生活空間51を確保しつつ万が一の備えとして避難ンシェルター1を使用者の身近に設置しておくことができる。

【0083】

[別の避難用シェルターシステムの構成]

次に、別の避難用シェルターシステムについて説明する。

別の避難用シェルターシステムは、一般住宅の階段下に避難用シェルター1の収納スペースを設けるもので、生活空間を極力阻害しないようにしたものである。

避難用シェルター1は、階段下の開放された空間側にハッチ9が向くように配置される。

一般的な木造家屋では、階段幅がせいぜい90cm程度であるので、完全に収納しきれず、ハッチ9が開放空間側に少しせり出すことになるが、階段下のスペースを有効に利用できる。

尚、収納スペースに余裕があれば、設置台21を設置し、その上に避難用シェルター1を載せてもよいが、収納スペースに余裕がなければ、シェルター本体3の球形に対応した凹部を床に形成し、その凹部に避難用シェルター1をはめ込むようにしてもよい。

【0084】

[第2のシェルター:図12~15]<キャンピングトレーラータイプ>

次に、本発明における第2の実施の形態に係る避難用シェルター(第2のシェルター)について図12~図15を参照しながら説明する。図12は、車両にけん引される第2のシュエルターの側面図であり、図13は、第2のシェルターの平面図であり、図14は、第2のシェルターの背面図であり、図15は、連結機構と解除機構を説明するための側面図である。

【0085】

[第2のシェルターの概略構造]

図12及び図13に示すように、第2のシェルター41は、浮遊シェルター43と、連結構造45と、解除機構40(図15)とを備え、キャンピングトレーラー型シェルターとなっている。第2のシェルターの収容人数は、10~20人程度である。

浮遊シェルター43は、連結構造45によって、けん引用の車両111と連結される。連結構造45の連結は、解除機構40によって解除可能に構成されている。

尚、浮遊シェルター43は、キャンピングトレーラーの箱型形状の外壁を成すものである、

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【0086】

[浮遊シェルター43の概略構造]

浮遊シェルター43は、全体として水密に構成されたシェルター本体43aと、シェルター本体43aを載置固定させる車台43bによって構成され、可動式かつ水中浮遊可能になっている。

シェルター本体43aは、その形状や大きさに制限はないが、本実施形態では各辺が丸みを帯びた横長の直方体形状に形成されている。丸みを帯びさせたのは、シェルター本体3aの強度を保ちやすいからである。また、横長直方体形状が選択されたのは、本実施形態では省略してあるが、たとえば、ベッド、ダイニングテーブル、キッチン、トイレ、シャワーなど生活に必要な装備を室内に設置することによりキャンピングトレーラー(トラベルトレーラー、キャラバン)として使用できるようにするためである。非常用の食料の他、緊急信号灯や緊急電波発信装置等を設置しておくこともよい。

【0087】

キャンプのようなアウトドアだけでなく、たとえば、自宅においてリビングや子供の勉強部屋として、さらにカラオケ室や楽器練習室等として活用することを妨げない。なお、上記の装備を設置した際でも、シェルター本体43aの中にいる避難者(通常時の使用者も含む、以下、同じ)状態の浮遊シェルター43が、図12に示すように、地上載置時と同じ姿勢で浮遊可能となるように全重量や重心位置を設定しておく。水中浮遊時のシェルター本体43の横転から避難者を確実に保護するためである。

【0088】

[シェルター本体43aの構造]

シュエルター本体43aの構造は、図11に示した第1の強化材31aと発泡体等32と第2の強化材31bの積層構造を用いるものであるが、以下に示す構造であってもよい。

シェルター本体43aの構造は、図12に丸で囲んだ拡大部分断面図に示すように、外側FRP層43pと内側FRP層43qの間に浮力材層43rを挟んだ三層構造になっている。外側側FRP層43pと内側FRP層43qは、それぞれ繊維強化プラスチックにより構成され、浮力材層43rは、発泡ウレタンフォーム等の高浮力材から構成されている。

シェルター本体43aは、キャンピングトレーラータイプであり、重くなることが予想されるため、発泡体(発泡材)を入れるのは必須である。

【0089】

FRP層を二重としたのは、災害時の外力に十分に対抗可能な強度を得るためであり、浮力材層を介在させたのは、何らかの不測の事態によりシェルター本体43a内に浸水があったとしても、浮遊シェルター43全体が直ちに水没しないようにするためである。内側FRP層43qの内側に、さらに、発泡ウレタンフォーム等により構成したクッション層(図示を省略)を設けてもよい。クッション層は、たとえば浮遊時におけるシェルター本体43aの揺れた際に転倒した避難者を保護するためのものである。

【0090】

シェルター本体43aの側面には、少なくとも1か所の水密ドア43dと、複数の覗き窓43wとが設けられている。水密ドア43dは、シェルター本体43aの室内に出入りする避難者が使用するドアであり、外方向へ開放するように構成されていることが好ましい。外方向開放とするのは、内方向開放に比べ、津波等の災害に遭遇したときにシェルター本体43aが受ける外圧に対し強いからである。

【0091】

覗き窓43wには、災害遭遇時でも容易に破損しない強化ガラスが水密設置され、シェルター43aの室内外からそれぞれ反対側が見られるようになっている。覗き窓43wの形状は、強度保持の観点から円形であることが好ましい。また、覗き窓43wの大きさは、形状も含め複数あるもののすべてを同じに設定する必要はないが、いずれにしろ災害遭遇時に対応可能な最低限の強度を備えるように設計することが必要である。

【0092】

覗き窓43wそれぞれの位置は、避難用シェルター41が浮遊するときに、その総排水量や重量等との関係から水没しない高さにあることが望ましい。図14に示すシェルター本体43aの正面に設けられている覗き窓43wは、シェルター本体43aの中で解除機構40を操作しようとする避難者が連結機構45を目視できるようにするために重要である。

【0093】

水密ドア43wは、上述したように外方向開放であるので、水難や土砂崩れに遭遇したときの水や土砂に邪魔されて開放できない場合が想定される。そのような場合に備え、シェルター本体43aには、その天板に脱出用ハッチ43hが、外開放可能かつ水密に設けられている。

脱出用ハッチ43hは、図14に示す完全開放状態とは別に、半開き状態にする構造(図示を省略)を設けておくとよい。通常使用時はもとより災害遭遇時であって可能なとき、脱出用ハッチ43hを半開き状態にしておくとシェルター本体43内の換気ができるし、避難者が顔を出して外の様子を伺うことができるからである。

【0094】

雨水、水害の水、土砂等が入り込むため脱出ハッチ43hを半開き状態にできないときのために、シェルター本体43aの天板の脱出ハッチ43h隣に換気装置43kが設けられている。換気装置43kは自然換気でも換気扇等による強制換気でもよいが、シェルター本体43aの水密機能を害さない構造である必要がある。換気装置43kには、塵や埃の侵入を防ぐ防塵フィルターや放射能の侵入を阻止する除染フィルター等を取り付けておくことが好ましい。塵埃や放射能等から避難者を保護し、健康を害さずに避難等ができるようにするためである。

【0095】

シェルター本体43aの天板の外側には、さらに、太陽光発電をするための太陽光パネル43sと、浮遊シェルター43を吊り下げるための複数の留め具43fとが取り付けられている。太陽光パネル43sは、太陽光発電によりシャルター本体43a内の蓄電池(図示を省略)に電源を供給するためのものであり、蓄電池に蓄えた電気は、特に避難時に避難者のライフラインの一つとなる。太陽光パネル43sの形状や個数は、可能な範囲で適宜設定することができる。太陽光パネルは、シェルター本体43aの側面等にも設置可能であることは言うまでもない。

【0096】

留め具43fは、本実施形態では、逆さU字形状のものが4個となっており、シェルター本体43aの天板の四隅にそれぞれ設けられている。これらの留め具43fは、吊り下げワイヤーを引っ掛けて、クレーンやヘリコプターによって浮遊シェルター43を吊り下げ、被災地から安全な場所へ移動したり、いずれかの目的地へ運搬したりするときに使用する。したがって、留め具43f各々は浮遊シェルター43として想定される最大重量(生活装備や避難者等の重量が含まれる)に十分に耐えられる強度を備えていなければならない。

【0097】

シェルター本体43aの側面には、さらに、少なくとも1個の救命具43eを取り外し可能に取り付けておくことを推奨する。救命具43aは、水難に遭遇したとき、シェルター本体43a内にいた避難者がそこを離れるときに使用すること、また、外にいる他の避難者の救助に用いることができる。さらに、側面に取り付けられた状態の救命具43eは、船舶を岸壁との衝突から保護するためのタイヤフェンダーと同様に、浮遊時に他の浮遊物との直接衝突からシェルター本体43aを保護する機能も有している。これに加え、図示は省略するが、シェルター本体43aの側面に、天板上に昇降するためのハシゴを設けることが好ましい。

【0098】

[連結構造の構造]

図14及び図15を参照しながら、連結構造の一例について説明する。

連結機構45は、車両111側に設けられた被係合部材115と解除可能に係合する係合部材45aと、被係合部材115に係合した係合部材45aが外れないようにするための可動外れ阻止部材45bにより構成されている。

被係合部材115は、車両111の後端から水平に伸びる細い平板状の部材であって、上下方向に貫通する係合孔115hを備えている。

係合部材45aは、逆さL字状の棒材であって、その縦棒部を上から係合孔115hに挿入して係合させるようになっている。このとき、係合部材45aは、その縦棒部先端がわずかに被係合部材115の下端から突き出すように構成されている。

【0099】

可動外れ防止部材45bは、図15に示すように、基部が車台43bにヒンジ固定され、解除時(未連結時)には、下方に向いている開放端(実線で表示)が回動して横方向に向き(破線で表示)、このときに係合部材45aの開放端と縦棒部先端とが接触もしくは近接することによって係合外れを阻止するようになっている。係合阻止を行うのは、被係合部材115と係合部材45aの係合が移動時の上下動によって外れるおそれがあるので、外れないようにするためである。

尚、可動外れ阻止部材45bは、横方向(係合阻止方向)に向かってバネ(図示を省略)により付勢されている。したがって、後述する係合解除する際の係合外れ阻止部材45bの回動は、このバネの力に抗しながら行われることになる。

【0100】

[解除機構の構造]

図15に示すように、解除機構40には、浮遊シェルター43(シェルター本体43a)内に設置された操作部40aと、操作部40aの操作に連動して可動外れ阻止部材45bを解除方向に移動させる動力伝達部40bとが設けられている。

動力伝達部40bは、ブレーキワイヤーで構成され、避難者による操作部40aの操作がフレキシブルチューブ内を長さ方向に移動するワイヤーによって動力伝達されるようになっている。避難者による操作部40aの操作は、動力となって動力伝達部40bを介し連結機構45の可動外れ阻止部材45bを駆動し、これによって可動外れ阻止部材5bはバネ力に抗しながら解除方向に回動するように構成されている。

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津波シェルター製造・販売 株式会社光レジン工業

地震や津波から命を守る防災シェルターHIKARi(ヒカリ)

 

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