プラスチック産業資材新聞(10/20発行)掲載の津波シェルター「ヒカリ」記事の詳細。


【9】実態は光レジン工業単独での津波シェルター<ノア>開発であった


<ノア>の実用化に際しては、当初コスモパワー社が商品化を目指していた「お椀型ドーム」を二つ重ね合わせて密閉空間を作る、という田中氏の提案がまず検討された。

 

しかし、その案を実現する具体的な製造法は、ハンドレイアップ製(ハケやローラーにより樹脂を塗り重ねる製法)のFRPボディでフランジ(金具の出っ張り)付きの半球型製品を、ボルト接合する構造(外観は、UFOのようになる)であり、これだと外部接合部が突起して露出しているため、耐衝撃性能の問題がある(壊れやすい)ことからこの案は断念された。

 

<ノア>の実用化に関しては、結局光レジン工業側の提案する、L-RTM工法(真空圧を利用した特殊工法。ハンドレイアップに比べより平滑、均質な成形が可能で強度が均一に保たれる)が取り入れられ、接合部分を内包化するオーバーレイ仕上げで製造することとなった。その他シェルターの各部分においても、光レジン工業の技術が各所に取り入れられることとなった。

 

<ノア>の開発にあたっては、日本大学の協力により「強度計算、破壊テスト、圧縮テスト」などが実施された。

しかし、これらの開発過程には、コスモパワーの田中氏は興味を示すことはなかった。

商品の仕様が毎日のように変わる、開発の試行錯誤の段階にあるにもかかわらず、田中氏は初期の設計内容を図示した商品パンフレットを作成し、早々と販売活動を開始してしまった。

このように「共同開発プロジェクト」とは名ばかりな状況であり、実際のところ、光レジン工業が単独で開発したといってもよい状態だったようだ。

  

地震・津波シェルター「ヒカリ」

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