東日本大震災から6年、津波シェルターHIKARi の今

津波シェルターHIKARi 光レジン工業事業部長の野中氏

 

みなさんこんにちは。光レジン工業 シェルター事業部の野中です。

 

 先の大震災から、早くも6年の月日が流れました。

この間、実に様々な出来事が有りましたが、本日現在、日本が国を挙げてその防災対策に取り組んでいる「南海トラフ大地震」は、幸いにして未だ発生していません。

 

「私達にはまだ時間が与えられている…」そう考えるなら、大変有り難くも思えますが、高名な地震学者が「正確な地震予知なんて絶対に不可能」とメディアで公言して開き直ってしまっている程、私達人類の知見は(正確な地震予知という観点においては)無力にも等しい訳ですから、現実は極めて厳しいと言わざるを得ません。

 

「正確にはいつなのか全く判らない、でも、近い内に必ず南海トラフ大地震は発生する。」…本当に頭の痛い問題です。

そんな、絶望的とも言える様な状況下において、私達日本人に出来る、唯一の「間違いの無い事」が有るとすれば、「時間を無駄にせず、来るべき有事への備えを、着実に、一歩一歩進めて行く。」

この一言に尽きるのではないでしょうか?

 

 ですので、東日本大震災から6年が経過した節目の日となる今日は、私達「光レジン工業  シェルター事業部」が、来るべき国難(南海トラフ大地震)の克服という大きな国家的命題に貢献する為の、「現状と今後の展望」について、少しお話させて頂こうと思います。

 

因みに「今後」の事については、この記事の最後で書かせて頂きましたが、一点、皆さんに御提案がございます。

 

 

新商品「津波シェルターCL-HIKARi」への経緯

 東日本大震災での津波被害を目の当たりにしてから開発に着手した、世界初の「FRP製密閉型防災シェルター」ですが、一般家庭や産業用施設向けに販売させて頂き、多くの反響を頂いたものの、大震災の惨禍の記憶が風化して行くにつれ、具体的には、大震災から3年を過ぎた頃から、一般家庭向けの販売が大きく落ち込んで来ました。

 

反面、産業用施設向けの需要は一般家庭向けの需要程の落ち込みは見られませんでした。

 

理由は直ぐに判明します。

 

「津波シェルターにお問合せ頂いたお客様が、購入を検討された結果、球形の商品形状がネックとなり、家屋内での設置スペースの問題を懸念して、結局、購入を断念される。」

…そういうケースが次々と発生して行ったからです。

 

中には、初めから玄関横や庭先などの家屋外に設置する事を前提とされる賢明な方も居られましたが、それはそれで、「じゃあ、何の為に、津波被害だけでは無く、家屋倒壊対策にもなる強固な防災シェルターを開発したのか…?」という問題がクローズアップされて参ります。

 

そして、この問題に対処する為、居住空間を侵害しないタイプの新商品「津波シェルター CL‐HIKRi 」が開発された…。

 

この辺の所までは、皆様既に御存知だと思います。

 

 

 ※津波シェルターCLヒカリの開発経緯など詳細についてはこちらをお読み下さい。

  1. この商品の開発目的について
  2. この商品の想定するマーケット
  3. この商品が果たすべき役割
  4. 皆様より頂いたご意見について

 

 

 

津波シェルター普及を阻む最大の要因とは?

 幸いにして、このCL(私達はCL‐HIKRi の事を略してCLと呼んでいます)、なかなか評判が良く、着実に販売実績を積み上げて来てくれているのですが、球形の防災シェルター一本で勝負していた頃から解決していない問題が、引き続き私達の前に立ちはだかります。

それは公的な支援・・・具体的には、商品購入代金の一部を国や自治体から助成して頂く為の制度設計が、なかなか成果を上げないという問題でした。

 

 南海トラフ大地震、そして、それに伴う津波被害が想定される太平洋沿岸地域だけに留まらず、海沿いの各自治体には、有効な津波被害対策を渇望する地域住民や役場担当者が必ず居られます。

そんな方達の中で、主にインターネットなどでの情報収集を経て、弊社シェルター事業部にお問合せをされた方に、私共が様々な御案内をさせて頂き、津波シェルターをオーダーして頂く・・・これが弊社津波シェルターの主な販売ストーリーなのですが、一般個人で購入される方から大変ご要望をいただくことの多い「公的な助成制度」つまり、購入代金に対する一部補助の制度、これを早く実現する事が、この津波シェルターHIKARiプロジェクトの要である「速やかに、広く普及させて、津波被害による犠牲者を一人でも多く削減する!」に繋がって行く訳です。

 

 弊社では、津波被害への防災対策が大きな行政課題となっていると考えられる、海沿いの自治体に対し、文書で弊社商品の御案内と公的な助成制度の導入検討を要請したのですが、多くの自治体から「同じ理由」で導入が難しい旨の回答を頂きました。

 

それは、弊社製品が家屋倒壊対策と津波対策を兼ね備え、各家庭に普及させる事の出来る小型少額商品であるが故に直面した阻害要因だったのです。

 

一体、何でその様な事になってしまったのでしょうか?

 

詳しくは後で御説明させて頂きますが、まずは下の図を御覧下さい。

 

 

南海トラフ地震の防災対策の3つの実現方法

 

 

南海トラフ地震の防災対策の費用対効果とは?

 

 

そもそも論になってしまいますが、防災対策というものは、地震対策であろうと、津波対策であろうと、台風被害対策であろうと、犯罪対策であろうと、基本的には同じアプローチを採ります。

 

 まず、国や地方の別を問わず、国民を守る為に公的に行われる防災対策、これを「公助」と言います。

そして、その対極、自分を守る為に自分自身で行う防災対策、これが「自助」、そしてそのどちらでもない、地域住民相互が協力して犠牲者を減らす為に行う防災対策、これを「共助」と言います。

 弊社の「防災・救命シェルターHIKARi」は、これらの内、「自助」に該当します。自分の命を、自分の家族を守る為に、自分で費用を賄って導入する、そういう事です。

 

この考え方とは真逆の「公助」による導入を前提として開発された商品が有ります。

「津波救命艇」と呼ばれるものです。

これは、公の場で、誰でも自由に立ち入る事の出来る場所、具体的には公園など、100%屋外に設置する事を前提としている商品である為、当然ながら、家屋内に設置する事や家屋倒壊対策などは全く考慮されていません。

 

弊社防災シェルターが「特定者・少数、そして家屋内設置を前提とし、津波対策以外にも家屋倒壊対策も念頭に入れた家庭用シェルター」である事を考えると、或る意味真逆の商品特性と言えるのかも知れません。

 

ただ、「水密性が有り、水に浮く」という共通点が有るだけです。

 

実は、このたった一つの共通点の為に、私共、光レジン工業シェルター事業部は、事業推進上の大きな壁に直面する事となります。

 

その大きな壁とは・・・以下をお読み下さい。

 

 

「前例がない」で始まる防災対策議論の無限ループ

 もう、細々とした経緯をお話して行くとキリが無くなってしまいますので、話を急ぎますが、私共光レジン工業が、津波シェルターHIKARi を購入される方への助成制度の開始を検討して頂きたい旨、各自治体の津波対策の担当部署に提案させて頂くと、以下の理由を提示され、難色を示されるという事が頻発致しました。

 

大まかに言えば、以下の様な問答による堂々巡りで、内容的には殆ど同じ構図です。

 

 

<各自治体の防災対策担当者>

 

「前例が無いので難しい」

 

「前例が無い中で助成制度を独自に判断する為には、中央省庁からの何らかの指針が必要」

 

津波救命艇ガイドラインが策定(H26年9月)される様なので、その内容を見極めた上で判断したい」

 

(ガイドライン策定後)「サイズや機能など、津波救命艇ガイドラインの基準に準拠していないので、公費での助成対象に認定するのは難しい」

 

「商品自体は素晴らしいので、他の自治体での導入事例が有れば、是非導入を進めたい」

 

 

 … 大体こんな感じです。

 

 

前例が無いのでやれない

前例が無いので、津波救命艇ガイドラインに準拠していなければ助成制度を開始する事が出来ない

前例が作られない

前例が無いのでやれない

 

・・・という「堂々巡りの無限ループ」が展開されたわけです。

 

 

 こういった交渉を進めて行く中で、弊社としては

 

「そもそも、不特定多数を救助する目的で屋外に設置する救命艇と、屋内に設置して家屋倒壊対策も兼ね、家族など、特定の人物だけが少人数で搭乗する弊社津波シェルター製品が、何故同一のカテゴリーに分類されなければならないのか?」

 

「弊社シェルターは水密性が有り津波対策に有効な商品では有るが、断じて船舶法で言う船艇には該当せず、津波救命艇では無い!不特定の数十人が搭乗する事が前提であり、その為の大掛かりな快適装備の敷設が条件となる、津波救命艇ガイドラインへの準拠云々を持ち出されるのは心外である!」

 

との旨、何度も見解を述べましたが、不毛の堂々巡り論議、無限ループを打破するには至らず、時間が経過して行ったのです。

 

やはり「世界初の商品を世に問う!」というのは、並大抵の事では無い様です。

(当たり前の事では有りますが…)

 

 「まったく…南海トラフ大地震という未曾有の国難が予想されていて、その対策が急務であるという事は、官民問わず、我が国共通の課題である筈なのに…一体何故?」

 

そんな愚痴がついつい口から出てしまいます。

 

 そういった状況下、

 

「行政側の動きを待ってなんか居られない!コッチは命が掛かっているんだ!」

 

という真剣なユーザーの皆様が、全額自己負担で弊社津波シェルターを次々と購入して頂く、、、

そしてまたその一方で、ご購入を前向きに検討して頂いていたのに、資金的な面で購入を断念せざるを得ないお客様もまた、次々と発生する、、、

そんな日々が過ぎ去って行った訳です。

 

 津波シェルターを全額自己負担で購入して頂いた方の御決断には心から敬服すると同時に、予算面で購入を断念された方には申し訳無い、そしてやり切れない様な思いが常に胸を過りました。

 

 

 

ついに国土交通省へ陳情! その結果は・・・

しかし、状況を大きく変える転機となりそうな出来事が、先月、2月8日に起こりました。

 

国土交通省-海事局-船舶産業課で、津波救命艇ガイドラインを策定した担当者御本人に直接お話を伺う機会を頂いたのです。

 

関係各位に深く感謝です!

 

 さぁ~、私共の積年の想いは…A4用紙で何と11枚、延べ1万4千310字にも亘る「魂の叫び」(笑)となって、国土交通省海事局に文書で届けられた訳であります!

 

 内容を簡単に要約しますと、まず、私達がこのシェルタープロジェクトを推進する根幹となる「理念」と、商品内容の御紹介。

そして、前述の津波救命艇ガイドラインによって発生してしまっている残念な堂々巡り論議の実態と、その件に関する弊社の見解。

最後に、この堂々巡りを打破する為の具体的な御提案。というものでした。

 

驚いた事に、御担当の専門官の方は、当日の面談までに、(ホームページベースだとは思いますが)かなり詳しく弊社の事をお調べ頂いていた様で、一同(社長、私、営業の朝倉の三名)恐縮。

 

 で、結果は何と……私共と全く同じ認識を確認する事が出来ました!

 

 まず、弊社見解である、「公助前提の津波救命艇は、不特定多数向け・屋外設置・家屋倒壊対策考慮無しであり、その正反対の商品特性でありかつ自助前提の弊社防災シェルターは全く別カテゴリーの商品である為、津波救命艇ガイドラインへの準拠云々に縛られず、各自治体で独自にその商品性能や品質を評価して助成対象に入れるかどうかを判断すべきである。」という事を確認して頂く事が出来ました。

 

御担当の専門官の言葉をそのまま借りると、「全く仰る通りです。」とまで言って頂きました。

 

本当に有り難いです!

 

しかも、

 

「役人の私が言うのも何ですが、『前例前例』って、悪い意味での役人根性に囚われていては、新しい事は何時まで経っても何も実現出来ないですよ。津波救命艇ガイドラインが意図せずに現場でこの様な弊害をもたらしてしまって、大変申し訳無いと思います。」

 

とのお言葉。

 

続いて、

 

「丁度これから、来年度の津波対策について、各自治体向けのアンケート調査を実施する予定が有るので、本件の様な間違った解釈がされる事の無い様、こちらからも指導して行きたいと思います。」

 

とお話頂きました。

 

私の胸の中に積もっていた「何か」が、砂の様に解けてサラサラと小さくなって行くのを感じました。

 

そして、責任者の室長さんからは、

 

「当初、大型船舶に設置が義務付けられている救命艇の為に国際的に運用されている厳格な品質基準を上手く活用すれば、効率良く津波救命艇のガイドラインに流用する事が出来るのでは?という仮説に基づいて急いで策定したのが、この津波救命艇ガイドラインでした。このガイドラインの解釈が一人歩きをして、貴社製品の様な、本来このガイドラインに準拠すべき商品と分類されるべきではない防災用品が、思わぬ形で普及を阻害される事になろうとは、全く想像だにしていなかった。現場でこんな事が起こってしまっていたとは、本当に申し訳無いです。」

 

と、そして、

 

「今日確認して頂いた事は、各自治体の担当者にも説明してあげて下さい。その上においても(国交省海事局の見解を各自治体担当者に説明した上においても)、そんな間違った事を言い続ける自治体が有れば、こちらに是非教えて頂きたい。直接ここにお電話して頂いて結構です。」

 

と、力強いお言葉を頂戴しました。

 

 「(もう大丈夫だ)想いは通じている。官も民も無い、有るのは国難克服への我々の共通の決意だ!」

 

地方自治体の担当者が悪い訳では無いのです。

彼等からしても、他の自治体で次々と導入されている実績が有れば安心である事は間違い無い訳であり、我々と同じく、未曾有の国難を克服し、想定犠牲者を一人でも多く圧縮したいと願っている国民の一人なのです。

 

問題は、明らかに一つの新しいガイドラインについて、解釈にミスが生じているという現状を戦略的に打破する為の我々のアプローチが不足していただけであり、幸いにして今、目指すべき方向性を見出す事が出来た訳です。

後は、我々が沢山汗を流すだけ。

そうすれば、時間が解決してくれる筈です。

 

さて、ここまで生々しくこの津波シェルタープロジェクトの現状を話してしまう事には、実は大変なリスクが有ります。

 

何故なら、今シェルター購入を申し込もうとされている方が、「公的な助成制度が出来るまで待とうかな…。」と判断される事となり、弊社シェルター事業部の売上が足踏みする可能性が高いからです。

 

でも、皆さんに正直に現状をお話しておくべきだと、何故か強く思ったので、詳しくお話させて頂いた次第です。

 

今日が節目の「特別な日」だからこそ、そんな気になったのかも知れません。

 

 

最後に、皆様へのご提案

最後に、冒頭、皆さんに提案が有る旨お話させて頂きました。

 

これからそのお話をします。

 

今、弊社シェルター事業部にお問合せ頂いている方や、或いはこれから問い合わせをしようと考えておられる方、お住まいの町役場の防災担当の窓口で、弊社のシェルター商品購入代金に対する助成金を支給して欲しい旨、ダメ元で相談してみて頂きたいのです。

 

もしかすると、オーダーを頂いて、設置工事が終わる迄にこちらでフォローさせて頂く事によって、助成金が支給されるかも知れません。

 

常識的に考えれば、時間の問題で間に合わない可能性が高いですが、「交渉するだけ無駄!」という感じだった今迄の展開とは違う事が起こる可能性も有ります。

 

私共も、ご連絡を頂いたら全国どこの自治体でも、皆さんの為にお住まいの役場と精一杯交渉させて頂きます。

 

国や地方の別を問わず、行政を動かすのは一人一人の国民から発信される「生の声」なのです。

 

最初から諦めないで、一緒にチャレンジしましょう!

 

以上、少し長くなってしまいましたが、最後まで御覧頂きまして、本当に有難うございます。

 

今までも、そして、これからも、国難克服への貢献の為、愚直にこの津波シェルタープロジェクトを推進して参ります故、今後共どうぞ宜しくお願い致します。 

 

 

 

 

 

「あの日」から今日で早くも6年となりました。

 

東日本大震災で亡くなられた犠牲者の方々の御冥福を、改めて、心よりお祈り申し上げます。

 

合掌

 

 

平成29年3月11日

株式会社光レジン工業

シェルター事業部長 野中浩二

 

 

【追加情報】小学館の週刊スピリッツ3月27日号に掲載!

2017.3.13発売の小学館「週刊スピリッツ No15 3/27号」には、「君と僕の 防災」として永久携帯版「防災MiniBOOK」が2冊(君と僕の・・)付録としてついています。

 

本紙p.35からの「ニッポン防災111人に聞いた!!!」に弊社代表の大野が「4人乗りの津波用避難シェルターを製造」(p.39)として紹介されています。

 

弊社の紹介部分ですが紹介させていただきます。

 

 

週刊スピリッツ No.15 3/27号 表紙

津波シェルターヒカリが小学館の週刊スピリッツ掲載01

 

 

週刊スピリッツ誌面に光レジン工業のコメントが掲載

ページの中央右上に「4人乗りの津波用避難シェルター」として紹介されています。

津波シェルターヒカリが小学館の週刊スピリッツ掲載099

 

 

弊社の掲載部分を拡大

弊社代表の大野のコメントがご覧いただけるよう拡大しました。

津波シェルターヒカリが小学館の週刊スピリッツ掲載02

 

 

付録「防災MiniBOOK」

「私と大切なあなたへの2冊セット」です。

津波シェルターヒカリが小学館の週刊スピリッツ掲載03

 

 

防災特集を一部紹介

弊社「防災・救命シェルターCL-HIKARi」は、この図の「生存期」のための防災設備。

真に「わたしと大切なあなたの命を守る最後の砦」だと考えます。

津波シェルターヒカリが小学館の週刊スピリッツ掲載04

 

 

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